2.思いを巡らす手法 イメージ

 紙面の中心にテーマとなるイメージを描いて、その周りに中心のテーマに関連するイメージを記録するといった「1対多」の表現方法は、前章で述べたように古くは密教の「曼陀羅絵図」にありました。

 最近ではトニー・ブザンの「マインドマッピング法」(「頭脳開発99パーセントへの挑戦」、トニー・ブザン著、川喜田二郎監修、日本ブリタニカ(株)発行)、松村寧雄氏の「MY法」(「経営に生きる仏教システム」、松村寧雄著、(株)講談社発行)、今泉浩晃氏の「マンダラート」(「マンダラ・メモロジー」、今泉浩晃著、中央美術学園出版局発行)、内藤富久氏と二宮紀治氏の「N2法」(「考えをまとめる技術」、内藤富久・二宮紀治共著、(株)中経出版発行)等、いろいろな手法が発表されています。

 このうち「マインドマッピング法」は、第6図に示すように、中心のテーマから放射状にキーワードや単文を記載していくといった、思いを巡らす先が延々と続くような表現がなされます。そのため、大きなテーマの場合には、巻き物のような連続紙が使われることになります。

 「マインド・マッピング法」を除く他の手法については、中心となる基本的図形一つを1枚の紙に、または中心となる基本的図形と思いを巡らす1段階先(2階層分)までの内容を1枚の紙に表現します。2階層分を1枚の紙に表現するために、基本的図形の繰り返し構造を平面展開した図形が採用されています。

 そして、3階層目以降については、同じ2階層の構造を組み込んだ別の紙に表現することになっています。「1対多」の表現方法を採用する思考方法のうち、思考過程で使用する基本的図形が一つの図形の中に2階層の構造を組み込んだフラクタル図形(部分と全体とが相似形)となっている「MY法」、「マンダラート」、「N2法」等を、私は「フラクタル思考法」と呼んで、トニー・ブザンの「マインド・マッピング法」のように、特定の基本的図形を使用しないものと区別することにしています。(次ページへ続きます)