39号39号

39号特許出願戦略

方向性を無視した量的指向は愚の骨頂。されど、量がともなわなければ質の向上もなし。

出願は「質か量か」というテーマに、どの会社でも大変な興味を示す。しかし、一件一件の出願の「質」などは、だれも判断できない。

出願の「質」で問題にすべきことは、その方向性だ。つまり、我が社とはどの技術分野に重点的に出願を集中させるのかという方向性である。この方向性が決まったら、あとは量を問題にすべきだ。方向をはっきりさせた上で「量」を求めれば、「質」はあとからついてくる。

特許とは、我が社の独自性を築くための手段である。どういうところに我が社の独自性を主張するのかがはっきりしていなければ、質だ量だと議論する資格もない。
出願戦略とは、出願を集中すべき分野を特定し、そこに量を集中させる、ただこれあるのみ。

特許の「質」と「量」は、特許担当者にとって永遠の問題である。

しかし、特許の質など評価できないことを一番よく知っているのも、特許担当者である。

本当に大事なのは、出願戦略の問題であって、一件一件の特許の質ではない。
出願戦略の質が高ければ、「出願件数は増えるもよし、減るもよし」!
最悪なのは、出願戦略の質が劣悪なのに、出願件数ばかり多いこと

優秀な出願戦略
  • 我が社の差別領域を囲む特許の塀をどこに築くかというテーマがしっかりしている。
  • 発明者からの出願依頼を待って出願するのではなく、戦略目標に向かって発明を積極的に掘り起こす姿勢がはっきりしている。
  • はっきりした戦略目標に対しては、特許出願の質よりもその量を求めることがはっきりしている。
劣悪な出願戦略
  • 出願件数ばかり求め、どこに我が社の差別化領域をつくるのかというテーマがまったくない場合。
  • 各セクションで、技術的課題がしっかり整理されていず、その優先順位も定かでない場合。
  • 特許出願が、発明者の発明完成のみ依存し、結果主義に陥っている場合。