従来の情報の構造化について
文献カードを使う
少し年配の、昔は研究者あるいは技術者だった方なら使ったことがあると思うが、今のようにパソコンが無かったころ、文献とか特許とかを分類したり整理したりするのに厚手の紙で出来た文献カードを良く使った。このカードには表題などの書誌事項、内容の要約を記入する欄以外に、四辺に鋏で切り欠いて分類するための穴があいていた。
一つの分類項目に一つの穴を割当てる。該当する内容のカードには、その項目に割り当てた穴に切り込みを入れる。そして該当する穴に針金を通してやって振り落とすと、その部分に切り欠きをいれた、すなわち欲しい内容のカードだけが落ちてくる(抽出)。一度切り欠いた穴は普通はもとに戻せない。だから、最初にどんな項目で情報を分類し、どの穴に割当てるかを慎重に決めておく必要がある。つまり、構造化するには前もってその構造を綿密に設計しておく必要があるし、一旦構造化した情報は再構造化できない。
一旦設計した構造は、それ以上進化しない。こうして蓄積した、あるいはその中から抽出した情報に直接解析を加えることはできない。頭の中の表に一旦戻すか、あるいは紙の上の表で行う。最近はカード型のデータベースソフトが沢山あるが、大抵がこの文献カードの延長線上にあるものと思う。
表計算ソフトを使う
情報を分類・整理して考察や解析を加えるために、我々は良く表を使う。昔は、紙の上の表を使ったが、最近は表計算ソフトを使ってパソコンで行う。例えば【図表2502】は筆者が実際に調査・分類したある分野での日本公開特許数百件のなかからその最初の部分だけを例として示したものである。
分類欄の幾つかには、該当する欄にキーワードを記してあるが、その他の分類欄は、文献カードの穴に相当しており、該当欄に 「X」 マークをつけて特許情報を分類してある。なお、多種市販されているデータベースソフトも、基本的には表計算ソフトによる分類と同じと考えることが出来るので、ここではそれには言及しないことにする。【図表2502】