0. 特許明細書につながる発明提案書をつくるには

私は、天才レオナル・ド・ダヴィンチの書いたといわれるノートを見たとき、そのアイデア・スケッチがあまりにも精巧なのに驚きました。実在するものをスケッチしたのではないかと疑いたくなるほどでした。同時に、「やはりこれだ」という自信のようなものを感じました。

というのは、私も開発設計に従事していた頃、最初に白紙の真ん中に開発テーマに対するアイデアを描き始め、その後、そのアイデアを実現するためのより具体的なアイデアや修正アイデアをその回りに描くことを、自然にやっていたからです。この点だけは、レオナル・ド・ダヴィンチと一緒であることを喜ぶと同時に、アイデアは次々に描きながら完成していくものであることを、そのとき確信しました。開発設計の次に私が取り組んだ特許管理業務では、工業所有権の他に、発明活動の支援を手掛ける上で、いろいろな創造理論と創造技法を勉強することになりました。

創造技法のうちで特に興味を持ったのが図解を多用する図解発想ないしは図解思考法とでもいえるものでした。その中でも、考える内容を中央に据え、思いついたアイデアをその周辺に並べていく手法が、技術的なアイデアを出す際の自由な思考を拘束することがない点で自分に合っているように思えました。

それがトニー・ブザンの「マインド・マッピング」であり、今泉浩晃氏の「マンダラート(登録商標)」でした。特に、 「マンダラート(登録商標)」に関しては、自分の肌に合うという感覚から熱中することになり、このマンダラ思考法を知り合いの人にも薦めていました。

そんなとき、初めての人にも手軽にマンダラ思考法が出来るように、カード操作によるゲーム感覚でその使い方が修得できるものを考えました。これに「MC(マトリックス・カード)法」と名づけて私の担当するセミナーで使用したところ中々評判が良かった為、より多くの方々に紹介できればと考えました。この講座の目的は発明提案書(特許企画書)の作成を「MC法」で作成することで「特許明細書」が身近に感じられれば、との思いです。是非、その自由自在な思考感覚を体験していただければと思います。