MC法講座講師:長谷川公彦

写真第6回   フラクタル思考とMC法-2

1.なぜ構成要素が八つなのか

 私たちの生活の中では、モノ、コトの数を数える場合には10進数や12進数が広く使われています。概念を分類する基準にも、図書館で使用されている「日本十進分類法」では10進数が使われています。物理的には、人間の指の数が10本だから、10の繰り返しであれば、数えるのに都合がよいということは事実です。

 思いを巡らすのは人間ですから、思いを巡らすために使用する道具も人間の感覚に一致する数を基本とするものの方が都合がいいことになります。感覚的なものも時間が経つと言葉として表現され、ついには日常用語として使われることになります。空間的・時間的な意味から派生した上中下、前後左右、四季、四方八方、八卦、十二支、12ヵ月等がそれで、これらの数が人間の感覚に一致する数といえるのではないでしょうか。

 人間の能力という観点では、前章で述べた有名なジョージ・A・ミラーの「マジックナンバー7」の法則があります。ジョージ・A・ミラーによれば「人間の頭が短時間で一度に記憶しておける事柄はせいぜい7つまでである。」という(「考える技術・書く技術」、バーバラ・ミント著、 (株)グロービス監修、山崎康司訳、ダイヤモンド社発行)。さらに人によってこの値には幅があるとのことで、彼はより一般的な「7±2」という数値を示しました。つまり、人間の頭が短時間で一度に記憶しておける事柄(短期記憶)は5つから9つ位までということのようです。

参考

 人間の存在する平面上であれば、自分を中心(1)にして前後左右の四方向(4)と、その間の斜め4方向を合わせた八方向(8)となります。1+4=5、1+8=9、偶然にもこの数字は、ミラーのいう「7±2」と一致します。したがって、「MY法」と「マンダラート」は、人間の感覚や能力に則した1:8を1単位とする思考法ということが証明できます。