1、システムと「モノ、コト」と階層性
世の中のすべての「モノ、コト」を統一的に見通す思考方法の枠組みとして「一般システム思考」なる考え方があります。ここで、システムとは、カオス(混沌)の反対語であって、秩序だったものという意味です。つまり、人が認識している、ある「モノ」、ある「コト」、のすべてがシステムであると考えることになります。システムとは「多数の構成要素が有機的な秩序を保ち、同一の目的に向かって行動するもの。」とJISの用語では定義されていますが、ここでは大村朔平氏がいわれているように「普通名詞で呼ばれているものはすべてシステムである。」と考えておきます(「企画・計画・設計のためのシステム思考入門」、大村朔平著、(株)悠々社発行)。大村朔平氏によれば、自然システムにも人工システムにも普遍的に存在するシステムの基本的な特徴に「階層性」があるといわれています。
この「階層性」という性質からすると、ある「モノ」、ある「コト」に着目した場合に、そのシステムは一段階下のレベルのより小さな単位のシステム(以下、これを下位システムという。)の集まりからできていることになります。また、同じレベルの他のシステムと一緒になって、一段階上のより大きな単位のシステム(以下、これを上位システムという。)を作っていることになります。