5-1.目的と手段の性質
課題や問題の目的が明確になったら、次に、その目的を達成するための最適な手段を考えることになります。その際に、手段としてどのような働きが必要なのかを考えます。この働きを、技術の世界では機能といいます。
技術の世界では、モノ、コトの構成要素を機能で捉え、この機能を中心とした構成要素の関係を解明することが行われます。この場合には、機能系統図を作成することになります。
ちなみに、機能も目的と手段との関係と同じように連鎖、階層性を有することになります。つまり、ある構成要素としての技術は、目的とする機能(目的機能)とその目的を達成するための手段としての機能(手段機能)との一組で表現され、これら構成要素としての技術が複雑に関係し合う(連鎖し階層構造を作る)ことで、上位の技術が完成されます。
つまり、働きの側面から見たのが「機能」であり、人間の意図の側面から見たのが「目的・手段」という表現であり、内容的には同じことです(「目的発想法」、村上哲大著、都市文化社発行)。
目的は、環境によっても変化します。何故ならば、時代によって、人間の好みも変わるし、制約条件も変わるからです。 したがって、変化の激しい今の時代では、課題や問題を解決した途端から、新たな課題や問題を抱えることになります。ということは、このような時代にあっては、目的手段系統図または機能系統図を作り続ける必要があるといえます。