81号81号

キャノンが電卓戦争で負けた訳

電卓競争
 電卓を開発したグループは、どういうわけか、特許にあまり注意を払わなかったそうです。そのために、せっかく良い商品を開発しながら、後発の競争相手に負けてしまったとのことです。

 それ以来、山路氏は、「技術者は論文を読むより特許を読んでください。」と言い続けたそうです。また、「報告書を書くなら、その前に特許を書いてください」、ともいい続けたそうです。
 その結果誰もが認めるキャノンの特許体質ができあがりました。
 さらに、社内に特許を積極的に出そうとする雰囲気を作るためには、技術者に対する奨励策があまり役に立たなかったともおっしゃっています。奨励策よりもグループのリーダーを啓蒙したほうが効果が大きかったそうです

 これは、傾聴に値します。一般にもよく言われます。グループ長によって出願がたくさん出るセクションと、そうでないセクションとが決まってしまうと。
 グループ長とは、会社の将来に大きくかかわっている人たちです。その人たちが、特許に無関心ということであってはならないことです。グループ長が特許に無関心では「電卓戦争」ではないけれど、我が社の競争体質を弱めることになります。要注意!!



強い特許
 山路氏は、「すなわち、強い技術を持っていると、よその技術を次々と飲み込んでしまう。」ともおっしゃっています。
 その意味は、強い技術を持っていると、その特許を使わせて欲しいという会社が多くなります。その結果、お宅の特許を使わせてもらう代わりに、うちの特許を使ってくださいということになるのです。

 このことからもわかるように、先ず我が社の得意技術を確立し、それに特許網を張り巡らすことが、特許戦略の基本になります。