孫子いわく、“用兵の法、其の来たらずを恃むなく、吾の以って之に待つある恃む、其の攻めざる恃むなく、吾の攻めるべからずあるの恃む”
1. 敵が攻めてこないことを期待するのではなく、敵が攻めて来られないようにすべきである。つまり敵からの「参入障壁」をどのように構築するかということである。自分の城を守るのに「掘」を深く掘り、城壁を高くすることは良く知られているが知的財産の世界でも同じである。
知的財産権は動的な力と静的な力があるといわれている。動的な力は権利を侵害されたときに侵害した会社へ「損害賠償請求権」を行使する、あるいは「差止め請求権」を行使することで行動がわかりやすい。一方、静的な力とは知的財産権を持っているだけで他社が市場に参入してこないという目に見えない抑止力であるから効果が分かり難い。
静的な力にも「守りと攻め」がある。「守り」は、自社技術(自社特許)と同じもので他社に実施させないという性質のものである。特許出願して特許権を取得すれば当面の目的は果たせる。
2. 「攻め」は、上位にある技術を基に類似する技術も含めて特許権を取得するという性質のものである。特許業界では「特許網」と言っている。しかし「特許網」は、違う場所で、いくら網を張ったところで無駄である。弾数打てば、そのうち一つぐらいは当たるかも、という「運頼み」では、人もお金も無駄使いで終わる。
我が社は、何処にどのような参入障壁、あるいは差別化領域を作るかという目的が明確でないと「ダメ」である。将来、他社と競合するかもしれない技術を現時点で予測することは確かに難しい。しかし懸命に考えるしかない。そして、それらのことを世間へ上手く知らせることができれば、より効果が上がる。