19.探りを入れることで勝てる策が見える

孫子いわく“これを策して得失の計を知り、これを作(おこ)して動静の理を知り、これを形して死生の地を知り、これを角(くら)べて有余不足の処を知る”

1. シミュレーションをして探りを入れることで、どうすれば勝てるかがわかる。挑発することで敵の動きのパターンがわかる。陽動することで敵を罠に嵌められるか否かがわかる。挑戦することで敵のどこが強くて弱いかがわかる。

日本人は争いを好まないから特許係争が少ない。特許係争は財産保護に対して極めて敏感であるアメリカが圧倒的に多い。アメリカは訴訟大国として世界ナンバーワンの地位にある。中国も急速に追い上げているから更に厄介となろう。

2. 日本のメーカーを狙った訴訟には様々なものがあるだろうが、中でも、「パテント・ホールディング・カンパニー」という、特許を持っているだけで事業活動は何もしない会社からの訴訟は要注意である。この種の会社は、何しろ特許が「飯のタネ」であるから、保有している特許の特許明細書も念入りに仕立てられていると見なして間違いない。

何しろ相手は、外国人である。交渉はタフでなければ務まらない。彼らは「カモ」になりそうな会社を炙り出し“特許を侵害いているぞ”という警告書を送りつけることで探りを入れてくる。探りを入れることで相手の「訴訟準備能力」がわかる。反論できる証拠資料を迅速に整えられる会社は敵にしない。準備ができていない会社が彼等のターゲットである。