Ⅱ、経営陣への情報参謀役となる「知財部」を目指す
1.情報は、企業が生き抜くために必要な「経営資源」である。
情報は、世の中の変化を素早く読み取り、その変質に気づき課題を先取りするのに使える。その課題を解決するのも、未来を創りだすのも情報である。情報は元々が無色、無臭、無味であると考え、特別のベクトルを働かせることによって情報の性質が大きく変わる。情報との付き合い方を間違えると、誤った判断をすることになる。
「情報は資源である」という、レポートが1970年代にアメリカで発表されている。申し訳ないが、このレポートの存在を紹介した書籍名と著者名を覚えていない。その内容は、 経営者とリーダーは情報を効率的かつ創造的に使うべき、即ち”情報マネジメントを新しい 面から見られるよう教育、訓練されるべき”、と記述されていたと思う。
- 1).情報は資源である。
- 2).情報は売り上げ利益を開拓するものである 。
- 3).情報は競争上優位になること保証付きである。
- 4).情報は間違えた投資を防ぐことができる。と
ご承知のようにインテリジェンスの最初の作業は、情報の収集である。その次に来るのが、その情報がホンマものかどうか、つまり情報の「真偽」を判定する作業である。そして必要情報の分析作業へと進む。
この情報収集と分析作業の伝統を受け継いでいるのが軍隊であり、企業家、貿易商人となる。敵のこと、市場、商売相手のことを知らなければ、仕事にならないから当然であろう。「情報」が「産業のコメ」であったり「戦いの武器」であるとも言われている所以はここにある。
つまり、インテリジェンス能力とは情報を収集する能力と情報を分析する能力、そして状況と分析結果の表現力(報告力)ということになろうか。いずれにせよ、基本的に必要な能力は、時間と空間(場所)の全体図を眺めることができる能力といえるだろう。
この全体図を眺める能力は、日本人には身につけることが,中々に難しいものとなっている。なぜなら日本人は、時間と場所において「今」を軸にして眺める文化(習性)があるからだ。
このことは、何かを作り上げる時に、我々日本人は部分から作り始めるのが一般的であり、アーキテクチャーと呼ばれる全体の構造設計を苦手とすることにも現れている。例えば、マイクロプロセサのアーキテクチャーは描けないが、その部分である半導体メモリーの改良はお手のもの、というようなところにも現れている。
2.孫子の兵法は、情報の重要性を説いている
孫子の兵法で最も有名なのが“戦わずして勝つ”,その兵法を支える要件に“彼を知り己を知る”がある。つまり情報の重要性を説いており、この基本原則は社会がどんなに変化しても変わらない。
孫子の兵法が読まれる理由は、人間が生きていくに避けられない戦いの基本原則を説き、いかなる時代であっても応用できるという面白さがあるからだと思う。そこで孫子の兵法から基本原則を抜き出して応用すれば、自分達が抱えている「戦略つくり」の答えが見えてくるのではなかろうかと考えている。
兵法や戦略は戦いのノウハウである。基本的には理詰めであり論理的になっている。論理的である条件の一つに前提条件が同じであれば推論の結果、答えは同じとなる。つまり、共通する前提条件で物事を考えれば出てくる答えは同じである。戦略とは共通する前提を合わせるといった抽象的なものである。だからこそ自分の頭で考え、独自の答えを出していく応用力が求められる。
孫子いわく
- “自分を知り、相手を知る、
- “最上の戦略は戦わずにして勝つこと”
- “勝つための準備を怠らない”
- “情報を制する者が、戦いを制す”