5、課題は、「調査レポート」を作成できる人材の不足
いま会社が抱えている緊急の課題は、「IPランドスケープ」に使われる「調査レポート」を作成できる人材の不足である、その人材の育成が急がれている。ここで調査レポート作成者(情報分析者)に求められる資質(能力)について述べてみる。
まずは、現状を把握する「分析力」、課題(問題)を見つける「探索力」が必要である。次に課題が見つかれば、その対応策(解決策)を考える「策定力」が求められる。そして、それらを分かりやすく明快に伝える「説明力」が必要である。
それには「事」の本質を知り得る(見極める)知識・知恵・経験、即ち「知力(インテリジェンス)」と「論理力(説明力」が必要である。AIに使われるのでなく、AIを使いこなすことで「グローバル知財」で活躍ができる超一流の「スター知財マン」になれば、リストラなんて恐れることは無い。整理すると、
何か新しいこと(事業)を始めるときは、世界から情報を収集せねばならない時代となった。気になる情報は、必ず原文で確認することが大事である。
原文を読むことで、様々な情報が得られる。例えば提携関係にある企業の存在、大学との共同研究、社内プロジエクトの紹介等が記述されている。また、会社を発展させるには〇〇技術が必要である。そのための技術支援を求めている、といったことも隠すことなく詳細に記載されている。
例えば投資や提携に関する情報であれば、正直にすべての情報を開示しなければ投資家や提携先を裏切ることになり見放される。従って数百ページに及ぶ資料は「ザラ」にある。(*)因みに外国企業から日本向けへ開示されているこれらの資料は「薄ペラ」で内容に乏しいのが多い。
しかし、厄介なことに、それら多くの原文情報は英語である。「英語苦手な日本人」には大きなハンデイとなっている。しかし知財部は優秀な人材を抱えており、「英語苦手」は解消できる。
なぜなら、知財の仕事で使われる主な英語は、世界共通の普遍的言語である「文明言語」である。しかも、その言語構造は論理的に記述されている。それは「翻訳ソフト(A I)」の支援が受けられやすい言語であることを意味する。
先ずは英語に慣れることで、英語が身近になり英語力がアップする。英語が苦手だからと言って専門家への丸投げは、何時まで経っても「グローバル知財」に対応できない、無能な知財部で終わってしまう。
インテリジエンス力が身に付くと、
- ・物事の本質が見えるようになる。
- ・物事を多面的に捉えられるようになる。
- ・受身での仕事がなくなる。
- ・問題(課題)が見つけやすくなる。
- ・課題解決の道筋が早く見つかるようになる。
- ・説得力が増し、周りの協力が得られるようになる。
つまり、自分のアタマで考える習慣が身に付き、人間しかできない、より創造的な、クリエイテイブ(創造的)な仕事ができるようになる。要するに、これからは人間しか出来ない仕事が強く要求される時代となっている。インテリジエンス能力を高めるには多くの日本人が苦手としている英語と向き合うしかない、何故ならインテリジエンス力の根源は情報であり、それら情報の多くは英語である。
