3. 人間、短期記憶量は「マジカルナンバー7」
マンダラは、中心のテーマ1セルに対してその周辺に8つのセルがありますが、この8つという数字の意味は何でしょう。カラスは3つまでは理解できるが、4つ以上になると、判別できなくなるらしい。あるの原住民は、1、2、3までは数えるらしいが、4を越えると「たくさん」という概念で処理するらしい。特許の世界でも、ある特定の技術が記載されている資料を4つ以上見つけることができれば、その技術を周知技術として扱うといわれています。
ジョージ・ミラーは、「人間が受け取り、処理し、記憶する情報の量についての制約」について、つまり短期記憶の限界に関する研究を行いました。(「ハイパーテキスト情報整理学」、ロバート・E・ホーン箸、アデプト社松原光治監訳、日経BP出版センター発行)彼は、チャンク(かたまりのこと。たとえば文字、単語、文など。)という概念を定義し、このチャンクを単位して測定したときの短期記憶の容量は、チャンクの内容(たとえば、数字、単語、色彩、文)によって左右されず、一定であることを確かめました。
また、可能性が五分五分の「2つの選択肢のいずれかを選ばなければならない」という情報の量を1ビットと定義し、人間が刺激に応じて反応を示すことができる上限の量を「通信路容量」と名付け、受け取った情報を正確に伝達する容量には限界があることを確かめました。
一次元的な刺激変数の大きさを正確に認識(線上の点の位置、音階、音量、塩味などの判断)できる限界は、情報の量すなわちビット数の制限を受け、7ビット近辺にあり、物事を一目で見て取る限界(これを、注意の範囲という)は、6チャンクだといいます。
これらのことから、人間の短期記憶の容量数は、7±2という数字で表現されるようになりました。そのため、記憶の世界では「マジカルナンバー7」という概念が生まれました。また、ハーバート・シモンの研究によれば、短期記憶に保持できるチャンクの数は、4前後、または最大でも9個位だという報告もあります。マンダラの周辺のセルの数が8つであることは、人間の思考を司る脳の性能に一致することから、マンダラ思考法は自然の理になったものであるといえます。