79号79号

79号開発の成果にはフローとストックとがある

フローとは  = 日々の開発活動で新商品を生み出すこと

ストックとは = 開発成果を、特許やノウハウという形で蓄積すること

このフローとストックとは、開発活動の両輪。どちらが欠けても、開発活動がアンバランスとなる。



フローとストックとのバランス

 開発活動の中で、このフローが充実していなければ、開発成果など望めない。したがって、ほとんどの会社で、このフローの効率を求める。
 一方、ストックの意識はなかなか把握しにくいので、ややもすると軽く見られがちになる。
 確かに、会社が成長の過程にあり、開発活動もスムーズにいっているときには、フローだけを重視すれば足りる。.しかし、会社の成長にかげりが出たり、あるいは成長段階で高いハードルを乗り越えなければならなかったりするときには、そのストックが重要になる。

 ストックのない例として、こんなことがあった。ある会社で、開発テーマの棚卸をした。そのとき、棚卸すべき開発テーマは、差別化に役立つものという条件をつけた。
 しかし、特許出願をしたことのない技術者には、差別化に役立つ開発テーマという意味が理解できなかった。その人があげてきた開発テーマは、ただ客先から依頼されたいわゆる日常的なテーマばかりであった。

 結局、フローだけで、ストックを無視していると、社内に独創性が養われなくなる。社内で生まれた独創的な技術でも、当り前の技術として簡単に見過ごしてしまう体質ができあがってしまう。
 このように社内で独創性に対する意識が希薄になると、会社の成長にかげりが出たりしたときに、技術者が自信を維持できなくなる。これが結果的に、会社の開発体質を脆弱化させることになる。