15.戦いは長引くが、最後の勝敗は一日で決する

戦いは長引くが、最後の勝敗は一日で決する

孫子いわく“相守ること数年、以って1日の勝ちを争う。しかるに爵禄百金を愛みて敵の情を知らざる者は、不仁の至りなり”

戦争は長く続くが、最後の勝利は1日で決まる。それなのに金銭を出し惜しんで敵情の情報収集を怠るものは愚かである。本当に重要な情報は人手と金をかけないと集まらない。実践で使える生きた情報とは人が現場を歩いて得た情報のことである。

新聞配達をしていたことがある。毎日がタウンウオッチングである。お陰でいろんな情報を持つことができた。その情報をネタに面白おかしく自分流に味をつけて発信させ、回りを面白がらせていた。おかげで友達はたくさんいた。他人が持っていない情報を持つことは、自分が生きていくための知恵を与えてくれることを、いつのまにか学んでいたのではないかと思う。情報は発信すれば人が集まる、人が集まれば話は盛り上がる。

情報戦は「間」が大事である

孫子いわく“聖地あらざれば、間を用いるあたわず。仁義にあらざれば、間を使うあたわず。微妙にあらざれば、間の実を得ることあたわず。微なるかな微なるかな、間を用いざる所なし”

孫子は情報戦における「間」の重要性を説いている。「間」とはスパイのことである。孫子いわく、スパイを雇う物は優れた知恵と人格を備えていなければ失敗する。決め細やかな配慮があってスパイを得ることができる。なんと微妙なことか、スパイの動きまで監視しておかねば成らないとは。

まずは世の中で公にされている情報収集からスタートするのが常套手段である。ネットなどによる情報収集は簡便で「そこそこ」の情報は得られる。うまく情報発信の源流に辿り着けば、ことの本質に出会えることもある。しかし実際に約立つ情報は「報」だけでなく「情」も加える必要がある。つまり自分の足を使い、目で見て、耳で聞いて市場に問うてみることである。ライバル社が発売している現商品の評判を聞き、販売動向をみることでライバル社の新商品開発の力の入れ方がわかる。前線にある販売店や消費者の声をまず聞くことである。