8.自社の技術をマネジメントできる人材を育成する

自社の技術をマネジメントできる人材を育成する

欧米の企業には自社の技術をマネジメントし、「特許出願戦略」の策定もできる「技術マネージャー」が各事業部に存在すると思われる。更にその出願戦略に沿った武器、即ち特許明細書を作成する特許弁護士の存在も大きい。あたり前と思える技術や秘匿したい技術を含めて「尤もらしく」書き上げる能力に敬服するしかない。

また審査官の多くは実際に「物つくり」をした経験が無いから文面で判断するしかない。説得力ある文章で“うんうん、なるほど”と思わせればよい。アメリカは更にこの傾向が強い。何か問題があれば当事者同士が裁判で解決すればよいというスタンスは変わらない。何処の国も行政機関は責任は取らない。特許権を取得しても誰も守ってはくれない。自己責任で守るしかない。

日本の特許流通が成功しない理由

政府は「知財立国日本」の構築を重点政策として、特許流通に力を入れたことが過去にある。しかし、資金投入(税金投入)は大きかったが効果は小さかった。上手く行かなかった理由は、読んで理解が難しい特許明細書にある。

特許流通は投資家をはじめ中小・ベンチャー企業経営者、つまりビジネスに関心のある人たちから読まれてこそチャンスがでてくる。発明技術の価値が理解できない特許明細書であれば、どう逆立ちしてもうまくいくはずがない。

欧米はなぜ技術移転が活発なのか。彼らが書く特許明細書は“どうです、この発明技術はすごいでしょう、ビジネスをして金儲けしませんか、その気があればこの発明に投資をしてください!”と、事業者や投資家たちをその気にさせるだけの説得力がある文章になっている。特許は溜め込む財産でなく、活用するための財産である。