2.「黎明・成長期」における日本企業のR&D体制
「黎明・成長期」に於いて、R&D部門が期待されていたのは、与えられた課題を組織力で、早く効率よく課題解決することであった。他社より早く成功することが至上命令となる。従って、この時代の研究開発技術者は、質の高い従順な兵隊であることが求められていた。
こうした組織でのリーダー(管理者)たちに求められるのは、解決すべき課題が与えられているのだから「課題創出能力」は必要ない。求められている課題の解決を部下に命じればよい。リーダーたちに求められるのは、いかにして部下のモラルを高く保ち、彼らに実践先行を根性でやらせるかである。
もう一つリーダーたちに求められるのは、実権を握る部署との関係を保つことである。与えられたテーマだから、それを奪うのも続けるのも、そのテーマを与えた部署や人の一存で決められる。日本企業の発展は、少数のまとめ役、あるいは交渉役とハングリーで質の良い兵隊が成し遂げてきたものといえる。
