Ⅲ、第3次産業革命の中期~後期:日本は「変革期」であった

第三次産業革命の後半、「変革期」は、コンシューマーインターネット(Consumer Internet)の大発展時代であった。推進したのがアマゾン、アップル、グーグル、フエイスブック、マイクロソフト社など、米国を代表とするIT企業である。この時代を第3次産業革命と位置づけ、それは何十億という世界中の人々を繋ぐというコンセプトであった。

一方、GE社を初めとする米国の巨大製造業は、コンシューマーインターネットの大発展を横目で見ながら、伝統的製造業では未来がないと考えた。そこで、コンシューマーインターネットに匹敵する「物のネットワーク」で、製造世界を変えねば成らない、とい危機感を持つに至った。これが、インダストリアルインターネット(Industrial Internet)である。それは世界中の何百億という物(部品、コンポーネントツール、設備)を繋ぐというコンセプトである。

インダストリアルインターネットの考えは、ドイツ政府の産業政策である「Industrial Revolution 4.0」からヒントを得たと言われている。「インダストリアルインターネット」と「インダストリアル4.0」は、互いに供する存在でなく補完するものである。

互いの共通領域を共有して、それぞれの独自領域を「進化・融合」させていくシステム作りである。これが「Internet of Things」「IoT」である。それらの複合技術を進化(深化)させることで、製造業の物つくり方式、あるいは技術が、これまでと異なり激変する。

「ディジタルツイン(*)」は、「IoT」の出現で、コスト的にも実際的アプリケーションとしても日の目を見ることになった。ディジタルツインは、物理対象物の仮想表現であり、リアルタイムのシナリオをディジタルでテストが出来る等の実現と時間を削減する仕組みである。例えば、アイデアを具体化するのにコストが抑えられ、少人数でも実現が出来る、といった経済効果を齎しビジネスに欠かせないものになっている。

(*)2002年に提唱され、その後、主にヨーロパ企業が取り組んできたシステム。使われる局面は、①製品の設計・製造 ②工場内の製造生産工程 ③市場での製品保守(予知型保守)の3点。