Ⅲ、IPランドスケープが実行できる「知財人材」を育成する
1、IPランドスケープとは、なんだ?
「IPランドスケープ」は、言葉だけが独り歩きしており、本質が理解されていないのが現状である。つまり、極めて抽象的であり、ボンヤリとして本質が見え難い。いまの「パテントマップ」を進化させたものと誤解をしている人もいるが、「IPランドスケープ」は「パテントマップ」ではない。「IPランドスケープ」は、特許情報だけでは成り立たない。特許情報は、数ある情報の一つでしかない。
第4次産業革命の中で、会社の持続的発展を目指すなら「IPランドスケープ」という、言葉遊びではなく、その本質(意義)と目的を「しっかり」と探り出し、自社が必要とする「IPランドスケープ」を具体的に設計することが先ず必要である。
では「IPランドスケープ」とは、いったいなんだろう。その大きな概念は、自社の「経営・事業戦略」の策定に役立たせる調査報告書、即ち「経営開発情報」のことであると思う。それは自社事業に関する内外国のあらゆる関連情報を収集し、「分析・解析・考察等」を加えた「調査レポート」である。
端的に言えば「転換・革命期」における市場動向、企業動向、技術開発動向を俯瞰する「マーケテイング調査」でもある。このレポートの信頼性を高めるためには特許情報を担保にすることが手っ取り早い。なぜなら特許情報には「嘘」がないからだ。「IPランドスケープ」に使われる「調査レポート」の作成は、会社の知的財産部が担うのが適切だという考え方が出ているのは、このような理由かと思っている。
