12.篠原ブログ:(1090) 文明と野蛮 (2012/10/17)

文明的、あるいは今の言葉で言えば「文化的」生活とはなんだろうか。その構成要素の大きな部分が社会的インフラ,即ち電気・ガス・上下水道・電話・道路などである。これらのインフラを利用して、水洗トイレ・湯沸かし器・洗濯機・掃除機・冷蔵庫・テレビ・電気オーブン・自動車などなどの「文明の利器」に囲まれて暮らしていれば「文明的生活」を享受していることになる。

この「文明人」が、それらのインフラに恵まれていない地域の人々眺めると、だいたいは差別の心が生まれることになる。大文明は基本的に中華思想であり、周りの住人はすべて「野蛮」と区分けされていたようだ。

「野蛮」という言葉がどこから出てきたのか私は知らないが、英語(欧州語)では知る限り3種ほどある。まず誰でも知っているであろう「savage」がある。これは辞書を見ると、uncivilized, uncultivated, uncultured、と意味の説明がなされており、要は非文明的、非文化的ということだ。

その他、野蛮人というときによく使われる単語として「barbarian」がある。この言葉はギリシャ語(barbaros)を語源として、意味は非ヘレニズム(non-Hellenic)、つまり自分達ヘレニズム文明の恩恵に浴していない人たち、つまり野蛮な外国人(異邦人)ということだ。

このように、中国・ギリシャ・ローマ文明の昔から、「文明人」は周辺の「未開」の住人を馬鹿にする性癖があった。

それでも当時の周辺住人は、”俺達は「野蛮人」?と気にしなかったようだ。しかし現在の近代文明となると、なんといってもその機械工業文明が圧倒的であるために、「野蛮」のレッテルをなんとか逃れたいとあせることにもなる。

特、我々日本列島の住人なんぞは、もともといささか軽佻浮薄にして浅慮、簡単に言えばおっちょこちょいのところがあるから、黒船やB-29に気持ちが動転してしまい、この150年必死に「文明人」たらんとあくせくすることになる。もちろん例外もあり、その最たる集団は北米の住人、とんでもない命名でアメリカ・インディアンと呼ばれることになる人たちである。彼らは西洋式文明を採用する気はまったくなく、その挙句、ほぼ「せんめつ」の運命に追いやられてしまった。