7.インテリジエンスの使い方を間違えない

2023年は、地球温暖化の影響で猛暑となった。また大雨、山火事等の気象災害も合次いだ。更に大きな戦争を抱えて新しい年を迎えることになった。これからの世界は、どうなるのか?人間は、なぜ戦争するのか?

戦争は悪と善の戦いでなく、お互いが正義で憎しみ合い、時には殺し合っている。つまり対立は、排除を生み、排除は恨みを生む。恨みは連鎖しておさまらない。このことは悲しき人間の性で、未来永劫変わらないであろう。

対立は西洋、東洋に係わらず繰り返されてきたが、中国の古典「菜根譚」にこんな諺がある。「古人、貧らざるを、もって宝となす」。これは欲張りの心が知恵を曇らせ、善悪の判断力を失いさせ、人間を愚かにしてしまうのだ、という教訓、戒めの言葉である。(矢間ブログ2023年12月31日)

太平洋戦争が始まる1940年当時のアメリカは体力・気力がもっとも充実し始めた時期であったと思う。従ってインテリジエンスの力もそれに基づく戦略も誠に妥当なものであった。対して、日本のインテリジエンスの力はお粗末であったと言える。ノンフィクション作家の保坂正康さんが太平洋戦争について述べている。『この戦争は「軍官僚の起こした戦争」であり、彼等の狭い視点での「主体的には歴史観のない」戦争であったと言っても良いと思える』(引用) 歴史道 太平洋戦争全史(朝日新聞出版)

1933年2月、国際連盟総会の場で42対1の圧倒的多数で可決されると、日本代表の松岡洋右は過激な演説をして退場した。日本政府は国際連盟を脱退して国際社会から孤立した。しかし松岡洋石は、日本国民から熱狂的な支持を得て、瞬く間に「ヒーロー」となった。当時のメデイアは大本営の発表を、そのまま国民に伝え続けるだけであった。都合の悪い情報を遮断するのは権力者の常とう手段である。民衆がインテリジエンス力を身につくことで、自分の権威が薄らぐことを恐れているからだ。タレントのタモリさんが「新しい戦前になるんじゃないなでしょうか」と、テレビで発言したことが話題になっている。(*)朝日新聞出版から2023年8月に『新しい戦前』が出版されている)。

1940年当時と現在のアメリカを比べると知力・知性は格段に落ちており、従ってアメリカの強みであったインテリジエンスの力も多くの綻びがみえてきた。日本はアメリカ様に従属し、ベイコク主導の戦争に日本が巻き込まれないことを願うしかないのか。