8.情報分析者に求められる資質と能力

いま日本企業が抱えている緊急の課題は、「IPランドスケープ」に使われる「調査レポート」を作成できる人材の不足である、その人材の育成が急がれている。ここで調査レポート作成者(情報分析者)に求められる資質(能力)について述べてみる。

まずは、現状を把握する「分析力」と課題(問題)を見つける「探索力」が必要である。次に課題が見つかれば、その対応策(解決策)を考える「策定力」が求められる。そして、それらを分かりやすく明快に伝える「説明力」と、その提案が受け入れられた時に関係者の協力を得て「実行・推進」ができる「行動力」が必要である。

それには「事」の本質を知り得る(見極める)知識・知恵・経験、つまり知力が必要である。AIに使われるのでなく使いこなすことで、」目指すゴールが近くなり答えも見えるようになれる。「グローバル社会」で活躍ができる人材になればリストラなんて恐れることは無い。

世界の人々へ、世界の共通分野での「物・事・考え」を伝えようとするなら、論理的に筋道つけて説明しないと、理解を得られない。「グローバル人材」を目指すなら、自分の説明に矛盾を生まない「論理的思考」を身につけ、自分のアタマで幾つかの答えを導き出せる「創造力」と「思考力」を鍛えることである。

さすれば物事の本質が見え、物事を多面的に捉えられ、受身での仕事でなく前向きの仕事がこなせるようになる。それらの資質が課題を発見する力となる。そして進むべき道筋を幾つか見つけることができる。後はアレコレと実行してみることである。その「行動力」が周り人からの信頼を受けることに繋がる。

【論理的思考とは】:事実の把握を出発点とするから、そして今生じていることは過去に生じた何らかの結果であるから、過去を知らずして状況把握は行えず、当然、分析も行えない。分析ができなければ問題点も出てこなく、問題点が見つけられなければ、対策も考えられない。あるいは考える必要はない。

【参考資料紹介】:植田氏ら(東京大学大学院総合文化研究科)は、研究及びオリジナリティーについて以下のように述べている(「研究開発マネジメント」誌、1998年9月号)。

研究とは、(1)初期情報(先行研究・事例・製品など)に、実験・観察・思考を繰り返しながら(2)新たな情報を付加し、足りない情報を補っていくプロセスである。オリジナリティーの高い創造的研究や新製品の開発の鍵を握るのは(3)発想の転換である。発想の転換は以下によってもたらされる。(A)視点の転換(B)類推(C)予期せぬ発見への注目である。

つまり創造力とは、(1)初期情報をもとに(2)価値のあるコンセプトを、(3)発想の転換をして作り出す力である。発想の転換を促すものは、情報の「構造化・再構造化」にある。つまり、関心情報を「複数の視点で見る、新しい視点を加える、古い視点を捨てる、角度を変えて見る」ことである。

【余談】:「T型人間」になろう!

これからの社会、専門知識だけで生き抜くことは難しい時代である。 「I 型人間」から「T型人間」へ変身すべきである。「T型人間」とはいろんな情報をもっていて、且つ専門知識のある人を指す。「T 型」は安全剃刀と同じ型をしている。安全剃刀は柄だけでは髭は剃れない。刃の部分と柄の部分が結合されて「髭剃り」の目的が達せられる。

安全剃刀の形で例えたが、専門知識だけの人よりも、いろいろな情報を持った人 の方が活躍の場が広がるという意味である。 これからは「面白い、愉快、楽しい」といった遊び心があって、心と頭そして体が喜ぶ仕事・活動が望まれる。即ち答えが幾つも必要とする時代である。答えを幾つも用意するには、いろいろな情報を吸収し、自分なりの面白い情報をたくさん発言することが大事である。(2006/03/09矢間伸次)