8・篠原ブログ(1086) フアミリー(2012/10/11)

スペインやイタリアでは(多分今でも)ファミリーを至極当たり前に大事にする。ラテン組はイギリスやドイツとは隣組であるからその実態はよくよく承知であり、しかも文明に関しては俺達の方が先達であると思っているから、そう簡単にはイギリス式、あるいはゲルマン式、あるいは、より正確にはWASP式(White-Anglo-Saxon-Puritan)文明を受け付けない。

それゆえ自分達の文化を維持する力、あるいは抵抗力は日本列島の住人よりははるかに強い。それだから、文化の土台であるファミリーも、いろいろ諸式がWASP式文明の影響を受けても、そう簡単には壊れない。いや壊さない。

イタリア式ファミリーの典型の一つがマフィアの組織に見られることは誰でもよく知っていることである。

そういえば、江戸末期から明治にかけてのやくざ組織もファミリー形態であった。清水の次郎長一家とか、群馬の大前田英五郎一家とか。そして、更にさかのぼれば、戦国大名の組織もファミリーである。

木下藤吉郎(秀吉)一家において、おかみさん「ねね」が台所を取り仕切り、賎が嶽七本槍で有名になった子飼いの若武者がその下で嬉々として働くという図式である。

なお、台所を取り仕切るということは家計をマネージすることであり、一家の中では絶大な権力と権勢を持っていた。これからもわかるように、日本のファミリーは昔から「かあちゃん」が軸である。

話がラテンから逸れたが、ラテンの人々に見られる「優しさ」、「暖かさ」、「人懐こさ」はこのファミリー基盤にあるのだろう。それに比べて、WASP式の人々には何か冷たさが感じられる。彼らとは、夜の巷を肩組んで飲み歩くなんてことはとてもできそうにない。「気が許せない」という言葉が浮かぶ。一緒にアホなことをする雰囲気にはなれない。