16.篠原ブログ:(1094) 手で作り出す感性 (2012/10/26)

一般的に言えると思うが、日本列島で生まれ育った人とラテン地域の人はその感性で似ているところがあり、私だけではないと思うのだが、日本人はイタリアとかスペインに旅すると何かホットした安らぎを感じるはずである。イギリス(イングランド)とかUSの東海岸を旅したときに感じる肩から首筋にかけての緊張感をおぼえることはないはずである。

そのなにかホッとする感じがどこから出てくるのかなかなか難しいところだが、両者とも手作りが好きで上手であるという面が、ホッとする要因の一つであることは間違いないと思う。(ひょっとして自分だけかな?)

近代文明の怒涛の如き波に覆われてしまったこの日本列島であるが、手工業と訳されているマニュファクチャリング(manufacturing 今は製造全般を指すようになってしまっているが)がまだなんとか残っているのはありがたい話である。一方、アングロ・サクソン式文明様式に思想においても感性においても、更には体質的にも反撥が強いラテン地域では、この手工業は根強く生き延びている。

例えば、高級車で有名なフェラーリ(Ferrari)、マセラッティ(Maserati)、アルファ・ロメオ(Alfa Romeo)といったイタリア車は、残念ながら今はアングロ・アメリカン流を身に付けたフィアット(Fiat)の傘下に取り込まれてしまったが、近代工業の大量生産の象徴である自動車製品としては、「手作り」の香りが強い。それがまた魅力で金持ちが高いお金を嬉々として払う因となっているのだろう。

この手作り風自動車を別にすれば、べネチュア得意のレース編みであれスペインの陶器であれ、その素材はほぼすべて自然素材であり、作り上げた人の手のぬくもりとあいまって人に温かみを与えることになる。また、手工業製品の多くは家族経営の下で作られており、それがまた手に取る人(買う人/使う人)に温かさを伝えることになっていると思われる。