3.孫子の兵法は、情報の重要性を説いている
孫子の兵法で最も有名なのが“戦わずして勝つ”,その兵法を支える要件に“彼を知り己を知る”がある。つまり情報の重要性を説いており、この基本原則は社会がどんなに変化しても変わらない。
孫子の兵法が読まれる理由は、人間が生きていくに避けられない戦いの基本原則を説き、いかなる時代であっても応用できるという面白さがあるからだと思う。そこで孫子の兵法から基本原則を抜き出して応用すれば、自分達が抱えている「戦略つくり」の答えが見えてくるのではなかろうかと考えている。
兵法や戦略は戦いのノウハウである。基本的には理詰めであり論理的になっている。論理的である条件の一つに前提条件が同じであれば推論の結果、答えは同じとなる。つまり、共通する前提条件で物事を考えれば出てくる答えは同じである。戦略とは共通する前提を合わせるといった抽象的なものである。だからこそ自分の頭で考え、独自の答えを出していく応用力が求められる。
孫子いわく
“最上の戦略は、戦わずにして勝つこと、情報を制する者が、戦いを制す”
“自分を知り相手を知る、情報を制する者が戦いを制する”
“勝つための準備を怠らない”
例えば企業の研究開発部門(R&D)であれば、差別化技術を追い続けることになる。それには世界から集まる関連情報をネタに市場要求(ニーズ)と自社技術(シーズ)のマッチング、あるいは自分(自社)と他人(他社)の比較をして自分と他人の強み、弱みを知ることである。
情報と言ってもネットなどから取り出す「デジタル情報」や、人と人の対話から生まれる「アナログ情報」などがある。これらの情報を「商品開発戦略」に取り入れるには感性、創造力、論理力、分析力など、つまりインテリジエンス能力が高くなければ、それらの情報は宝の持ち腐れとなる。