3、英語は構造的で、学習しやすい言語である

モノの観方や考え方の違いは、当然言語の 違いに反映される。それは、言語の構造の違いと、表現の順序の違いとなって現れる。英語の特徴は、日本語と比較した場合、以下の二点に現れている。

【英語】:主体(Subject)抜きでは事が始まらない。(S)が何であり、それが何をしているのか(V)、客体(Subject)に何を働きかけている(V)のかをハッキリさせる。流れも、この SVO に固定される.モノの観方の基本形である から、この順序は変えられない. 自分が何者であるか、先ず主張し、その後で解説を加える.つまり重要な ことを先に述べ、次第に瑣末の事項へと続く。

【日本語】:日本語の特徴は主体が全体の中に溶け込んでいるので、(S)を表面に出さなく とも、言語として成り立つ。しかも、全体の説明から入るので、(O) を先頭にでも途中にでも配置でき、何をどうしているのか、(V) を一番、最後に置きさえすれば、その途中は自由に並び替えできる。同じく、全体の中の自分ということから、全体を説明してから主張なり結論を述べる。

これは存在の基本型であるから言語においてもこの順序は変えられない。変える必 要もない。日本語は主語(subject)が無いと、極端な意見を吐く人もいるが、主語が無いのではなく、表に出さなくとも言語としての形を取れるということである。誤解されては困るが日本語より英語の方が優れていると、言っているわけではない。

◆構造的である英語文章を、「3*3」方式で分割する

英語の文章をモジュールとコンポーネントに分割し、それを縦に並べて表示すると、驚くほどに、その構造と流れが見えてくる。

英語を母語とする人や英語の達人から見ると、「何だ、これは!」と笑うかもしれない。しかし外国語として対処する者にとって、特に表現の順序がこれほど迄に違う日本語を母語としている我々日本人にとっては、自分たちに都合の良いように表面上の加工をして対処することに対して不都合なことでは無いと考えている。何故なら表面上の加工をしても中身は変わらないからだ。

分割して縦に並べると、3つの利点がある。①、主たる部分と従たる部分の区分が容易に出来、骨組みが浮き彫りにされる。②、何を表現しているか、軸となる動詞の存在に焦点が当てられる。③、記述の順序が明確に認識でき、順序通りに処理するリズムが身に付く。

更に、この区切りに慣れると聞き取りの力も大幅に向上すると思う。モジュールとコンポーネントという概念は、採用されていないが、語られるセンテンスの固まりに分けて、そのブロックごとに処理していくやり方は、日本で、同時通訳の訓練方法として昔から採用されていると聞いている。

要するに、文章がどのような構造になっているのかを、明確に確認することが、言語を外国語として修得していく上で、最も基本的な方法であると考えている。つまり構造とは形であり、その形の上で、表現の内容、表現の順序が展開されていくわけだから、先ずは、英語の言語構造の理解から、英語に慣れることを勧めたい。

【参考にしてください(PDF 18P)】
社会科学系書籍を縦に読む:(The Japanese Dilemma/原爆投下論議について)