7.「IPランドスケープ」が必要となった背景
「黎明・成長期」は、改良技術や「生産・製造」技術の進歩による大量生産、大量消費の時代で、工業化社会の最盛期であった日本の物つくり技術が日本の「高度経済成長期」を支えた。
「成熟・衰退期」は、日本は、次の成長シナリオが描けず、日本企業の研究開発力が弱まっている時代である。過去の成功体験から脱皮できない組織が問題とされた。
「転換・革命期」は、第4次産業革命とも言われ、データービジネス、あるいは。「プラットフォーマービジネス(基盤)」の時代を迎えた。それは、これまでの産業構造がガラリと変わり、既存事業の淘汰が急激に進む厳しい時代である。
いまや世界は産業構造の「転換・革命期」を迎えている。第4次産業革命で日本製造業の地殻変動が起こり激変する。日本経済を支えてきた自動車産業も100年に一度の変革を迎えたといわれている。自動車産業の裾野は広く、その影響は他産業にも及ぼす。
繰り返しになるが「IPランドスケープ」に使われる「調査レポート」の作成目的は、自社事業に関連する内外国のあらゆる情報を収集し、その情報の「分析・解析」を行い、これからの市場動向、同業他社の企業動向、新技術を予測する技術動向などを調査することである。即ち、自社事業の将来を見据えた「会社経営・自社事業」の戦略策定に役立せる情報提供である。
例えば自社に足らない技術は何か、その技術は自社で開発が可能なのか、その時間はあるのか、といったことの判断をするに使う。その結果、自前主義に限界があれば、手を組む相手を探さねばならない。その相手が持っている技術は確かなのか、パートナーとして信頼できるのか、どのような方法(戦略)で提携するのか、あるいは買収するのか(勿論、その逆も有る)、その時のリスクは何か、といったことまで調査を進めて行くことが出来る上位概念に位置する「調査レポート」である。
第4次産業革命は、自前主義が通用せず、事業の再編、統合は避けられない。M&Aはグローバル規模で展開されている。しかもそのスピードは、とてつもなく速い。しかし、日本企業は「欧州・米国・中国企業」に比べ、大きく遅れを取っており成功事例も極めて少ない。その理由は、相手企業の情報分析が圧倒的に不足しているからだ。
更に日本企業が持つ特有の組織が弊害にもなっている。責任を取りたくない組織は、その判断と責任を外部のコンサルタント会社(外資系が多い)へ「丸投げ」する傾向にある。しかもコストは膨大で、内容は浅く、費用対効果は得られない。こんなことを繰り返していたのでは幾ら、お金があっても足らなくなる。
日本人の特性であろうか、目先の課題解決には大きなエネルギーを費やす。しかし、それが終えると「ハイ、それでおしまい!」となる。その先で新たな問題が起きれば、その時に改めて考えればよい、と甚だ場当たり的である。
このままでは、日本の経済は衰退し、日本国力の低下は避けられない。多くの日本人(特に若者)は、先の見えない不安に怯え、現実から目を離し、日々の楽しみだけを追っているように見える。大事なのは誰かが守ってくれるのでなく。各自が自立して、自分の働き場所を見つけ、その場所に必要な能力を身につけていく努力である。
ラグビーの日本チームが、まさにグローバル化したチーム(組織)であると確信した。グローバル化とは、国や人種に関係なく自分が活躍できる働き場所(国)で輝くことができる土壌のことだとおもう。まだ先進国になり得ない日本国は、ともかくとして、日本人は世界の人々から好感をもたれているので希望は持てるのだが・・。