IPMA

知財経営を学ぶ 一般公開資料 知財レポート 知財Q&A 書籍関連

創造技法MC法 中国知財関連 戦略的特許調査 WEB教育 発明提案書作成

知財経営を学ぶ

IPMA >> 特許係争に巻き込まれたら >> 交渉の進め方

特許紛争に巻き込まれたら 第二章 交渉をどのように進めるか

交渉の進め方

警告書の送り手に対する対応であり、適切に問題を検討し、防御を固めるためには十分な時間が必要である。つまり、和解のための議論に関わっていることを特許権者に知らせるためである。そして、相手の動向を適切に判断しながら、交渉の進展によって方針変更を要したり、そのまま一気に訴訟に至ったりする場合もある。従って、交渉は粘り強く、かつ柔軟に、あるときは強行に打って出ることも必要である。

交渉に当たっては、事前の準備として予め交渉の筋書きを作っておくことが重要である。そしてその筋書きは、相手があることであり予定通りにいかないことを承知の上で、予測される問題点を多面的に検討し、多くの観点からの選択肢を用意しておくことが賢明である。

1)交渉団

プロジェクトを全社的に編成しているとすれば、当然その中から特許権者と交渉すべき参加者を決めて対応すべきである。参加者(交渉団)の決定に当たっては、相手方の交渉権は誰か(企業、訴訟人、外部の交渉者)、その交渉者はどのような人物像を持った者かによって当方も対応すべきである。

一般的に交渉団は、リーダーを中心に、特許担当者、技術担当者、必要に応じて外部の弁護士や弁理士等の特許専門家から構成すべきである。そして、交渉団の交渉が成功裡に終了できるかどうかは、交渉に参加しない他のメンバーの支援・助力が大きな鍵となってくる。交渉の席での検討内容に関して客観的に証明するための技術的な調査、試験、データ確認等は至って重要な事項であるからに他ならない。

2)役割

交渉団の役割は、それぞれの専門家としての立場もさることながら、団としての統一された見解に立脚しての立場を堅持しなければならない。少しでも雰囲気が異なる発言や態度は、相手方に見抜かれその者をターゲットとした質問が集中し、思わぬ統一見解の脆弱さを露呈することにもなりかねない点に留意すべきである。

3)専門家

必要に応じて外部の弁護士や弁理士等の特許専門家に交渉に参画して頂くことが交渉戦略上重要なこともある。その場合、交渉の場でどのような立場で参画し、発言して頂くかを明確にしておかなければならない。専門家は、一つの信念の下での解釈論を堅持されているような方が多いため、自己の信念を貫き通そうとされる余り、それが企業としての統一見解上の立場と微妙に異なることがあり、場合によっては相手方の論理に適ってしまうことすらあるので、予め専門家として、かつ交渉団の一員としての役割を明確にしお願いしておく必要がある。

4)権限

交渉団には、重要な役割を担って相手方との交渉を実践して頂くことになるので、特に、そのリーダーには自社内での基準となる権限を上回るものがあったとしても、交渉の円滑的な推進のために必要となる事項については、権限者から指定された範囲での権限委譲の下に堂々と交渉を行う必要がある。交渉権限を持たない者との交渉は、相手にとって無意味のものとなり相手にしてもらえず、交渉者の変更を余儀なくされることすらある。

お問い合わせ