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特許紛争に巻き込まれたら 第三章 米国特許訴訟事件

警告書の検討

1)警告書の意味

米国における訴訟で、警告書は「損害賠償の起点」と「故意侵害」をそれぞれ判断する材料として非常に大きな意味を持つことになる。警告書の発送は、「侵害の発生」を意味することになる。特許侵害の回復を目的として、特許権者は侵害者に対して正当な権利を通知する訳である。

警告書を通じて侵害者が自らの行為を認識した時点で、法的な意味での侵害と損害賠償責任が生じることになる。逆に言えば、通知が出されない限り、既に行為としての侵害が発生していても、法的には損害の回復は認められないことになる。法的観点から、警告書は次の2つのタイプに分類できる。第1には、実際的な侵害者への通知であり、特許侵害に関する法的処置を記録していくことになる。この場合、警告書は「該当する特許と侵害内容」、「製品」、そして「関連する製品と特許」を特定して侵害を糾弾するものでなくてはならない訳である。第2は、これ以外の推定的な警告書になるわけである。

2)警告書の法的要件

米国特許に係る警告書の場合は、問題となる特許とそれを使った製品の特定やその警告書自体の法的な有効性などを検討する必要がある。有効な警告書の場合は、訴訟ではこの警告書の送付が侵害に対する損害賠償の起点時期となる。

しかし、有効でない場合は、例えば、「製品(「侵害品」とされる自社製品)、「先方が主張する特許とその特許番号」などが警告書中で特定されていないならば、この警告書は損害賠償の起点とはならない訳である。また、米国の場合、警告書は日本の「内容証明郵便」のような公的に送付が記録される方法は採らずに普通郵便や電子メールなどの手段で送付しても有効とされている。

最近は、「フィッシング」と言って無差別に企業に対して警告書を送付してくるケースもある。ただし、法的な根拠が認められるためには、先に述べた記すべき要件があるので、それを確認することである。弁護士など専門家の知見を得たり、同様の警告書を受けた企業がある場合は法的違反などに該当しない範囲において共同で対抗したりする方法も視野に入れつつ、適切に対応を検討することである。

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