IPMA >> 特許係争に巻き込まれたら >> 米国訴訟手続の概要と特徴
基本的に州ごとの州法に基づき裁判が行われる。但し、特許権など(商標権、著作権などは除く)の控訴は、米国連邦巡回控訴裁判所となる。
米国訴訟での手続は、訴状提出から判決が出て、控訴に至るまで10段階がある。
訴訟の当事者同士が、お互いに相手側の訴訟関連情報を公判前に収集しあう制度である。開示手続の目的は、争点の明確化、不意打ちの防止、和解の促進などがある。問題点としては、調査対象が非常に広範囲となり、また長期間になるため、対応コスト、弁護士費用などが膨大になる点である。訴訟を受けた場合、この開示手続を通じて、応訴や和解の可能性を検討することになる。これは、米国の民事手続き最大の特徴と言える制度である。
判事と双方の弁護士が、争点を整理して公判の手順を決めていくことになる。この時点ではじめて、判事は訴訟の争点について全貌を知ることになる。その間、当事者である企業は、徹底抗戦するか、和解するか、応訴するかなどの戦略を検討することになる。
本番の裁判そのものの設定で行うリハーサルのことである。これは米国の訴訟ビジネスの一環であり、一般市民にアルバイトとして陪審役になってもらうことになる。そのため、素直な意見が聞けると共に、承認の証言についての練習にもなる。ただし、当然そのためのコストが必要になるので、それを利用するかどうかの検討が必要である。
陪審員制度は、合衆国憲法で保証されているものであり、事実認定のための制度であり、原告が放棄しない限り実施される。陪審員の構成や評決の基準は、各州法に従うので、州ごとに異なる。この陪審員の務めは米国市民の義務であり、陪審員の選出は評決に大きな影響をもたらすので大変重要である。